パソコン、タブレット、スマートフォンなどのディスプレイを長時間見続けると、目の疲れ、充血、ドライアイ、頭痛、首・肩・腕・手・腰の疲れや痛みなどの身体症状、不安感やイライラなどの精神神経症状を起こすことがあります。
まばたきの頻度は平常約3秒に1回ですが、読書時は約6秒に1回、さらにディスプレイ使用時は約12秒に1回に減少します。まばたきの回数が減れば、そのぶん涙が蒸発しやすくなり、ドライアイを引き起こし眼精疲労の原因となります。
ディスプレイを見る時は意識的にまばたきを増やし、こまめに休息をとるようにしましょう。厚生労働省のガイドラインでは1時間連続作業のあと10分から15分程度の作業休止時間を設けることを勧めています。
涙は眼の表面をおおい、眼を守る働きをしています。
ドライアイでは涙の量と安定性が不足するので眼の表面の潤いが不足し、異物感、視力低下などの症状が現れます。
ドライアイの原因は加齢によるもの、生活環境によるものにわかれます。
ドライアイの治療は生活環境の改善と点眼液によって行います。ドライアイの原因によって4種類の点眼液を使い分けます。
一般名 | 働き | 商品名 |
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塩化カリウム・塩化ナトリウム | 涙液を補助 | ソフトサンティア |
精製ヒアルロン酸ナトリウム | 涙液層を安定化 | ヒアレイン |
ジクアホソルナトリウム | 涙液中の水分やムチンの分泌を促進 | ジクアス |
レバミピド | ムチンの分泌を促進 | ムコスタUD |
ものを見ているとき、黒い点や糸くず、虫のようなものが実際にはないのに見える現象です。見えるものの形や大きさは様々で、透明なこともあります。目を動かすとついて動きます。白い壁や明るい空を背景にするとはっきり見えます。
硝子体は眼球の中を満たしているゼリー状の透明な物体です(図1)。加齢により硝子体が萎縮すると後部硝子体剥離が起こり、網膜との間がはがれて水に置きかわります。硝子体の後部は線維が集まっているのでその影が蚊やわたぼこりのように見えることがあります。これを生理的飛蚊症と呼びます。
網膜や硝子体などの病気によるものが病的飛蚊症です。黒い点の量が急に増えたり、視力が下がったり、視野の一部が欠けたりした場合はすぐに眼科を受診してください。
暗闇で光がないのに稲妻のような光が視野の外側で見えることがあります。これが光視症です。
後部硝子体剥離が起きた後、目を動かしたり、顔を振ったりすると、硝子体と網膜が癒着している部分で硝子体が網膜を引っ張るために光として感じられます。
光視症自体は無害ですが、病的飛蚊症を伴う場合はすぐに眼科を受診してください。
加齢黄斑変性とは、光を受け取る網膜の中心部である黄斑が傷害される病気です。
見たいと思う視野の中心部が見えにくくなり、進行すると視力が大幅に低下します。
加齢黄斑変性では、網膜の下にある脈絡膜から新生血管が伸びてきます。この血管は弱いために出血しやすく、網膜を痛めてしまいます。
日本では、50歳以上の1.2%がこの病気になると言われています。
治療は、新生血管の発生をおさえるお薬を直接眼球に注射して行います。この治療で視力の維持または改善が期待できますが、治療を継続する必要があります。
ビタミンC、ビタミンE、βカロチン、亜鉛などを含んだサプリメントをとると加齢黄斑変性の発症が少なくなることが分かっています。当院ではサプリメントを取り扱っています。